鏡の制作②/田山
2015年3月8日
こんにちは。
制作の田山です。
今回は鏡の制作のその後をお伝えします。
段欠き加工のあとは留め加工を行います。
留め加工とは45°に切ることを言います。
この加工で気をつけることはきっちり45°にすることと、その切断面が直角になっていることです。
前者が少しでもずれていると、接着した時に隙間ができてしまいます。
後者に問題があると、接着して枠になったときにねじれが生じてしまいます。
留め加工の後はいよいよ接着です。
留めの枠の接着はこのように行います。
意匠で溝を切ってあるものもあるので、接着でのずれは許されません。
そのため目違いが発生しないよう慎重に行わなくてはならないのです。
接着後は、僅かに発生した目違いをとり、そしてかんざし加工を施します。
かんざし加工とは、留め部に溝をつき、その溝に別の材料を差し込み接着することです。
かんざしは雇いほぞという一種のほぞとなり、留め部の接着をより強固にします。
その後、かんざしの出っ張りをとり、仕上げして、塗装します。
今回はクリアオイル仕上げのものと、色のついたオイルを使用したアンティーク仕上げの2パターンの塗装を施しました。
【1回目の塗装後】
これからさらに、細かい番手のサンドペーパーで磨きながら何度かオイルを塗り重ね、鏡、裏板をつければ完成です。
木工の道につく前は鏡を制作するのが、こんなにも大変だと思いもしませんでした。
木取りから加工・仕上げ・塗装に至るまで気を抜くことができません。
気を抜いてしまうと、木目の美しさ、加工精度、均一な塗装等に少なからず影響が表れてしまいます。
これは鏡に限らず、全てに言える事なので、木工はつくづく骨が折れる…と感じます。
しかし、だからこそ、やりがいや面白さがあると思います。
樹種や木目の違いによる適材適所の使用、適切な加工法の選択などの難しさがあります。
さらに前述したように集中を切らすことが許されない大変な仕事ですが、それを克服して美しいものができ、
お客様に喜んでもらえたときの気持ちは何にも変えがたいです。
そのためにも、日々集中し、より多くのことを吸収して、技術・知識を高めていきたいです。