アクロージュファニチャー

アメリカンチェリーのカウンター天板と本棚、飾棚の制作

2015年6月12日

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リビングの壁一面を通す、アメリカンチェリーのカウンター天板と本棚、飾棚を制作しました。

天板の長さは3m50cmあります。

ここまで長いきれいな適材を用意するのは、簡単ではありません。

今回のお仕事でもっとも重要なことが、この適材探しです。

何か所もの材木店を回り、静岡の材木店でついに適材に出会いました。

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何てこともなく見えるこの3枚が、努力して見つけた適材です。

左からの2枚は共材のブックマッチの板目です。

これらの材はアメリカで製材されたものです。

アメリカで丸太から製材し、素性によって選別され、乾燥した上で、梱包され、輸出されます。

こうした過程で、同じ木からの板は通常バラバラになっていきます。

ただ、何百枚単位で梱包された中に、運良く共材が入っていたりします。

それが今回はブックマッチの共材で、素性、色味、木目、全てが合格点の材を見つけることが出来ました。

ちょっとした奇跡です。探そうとして簡単に見つかるものではないのです。

お客さまの願いと運がそうさせたのでしょうか。

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製材し、接着します。

ここまで長い物を接着するだけで大変ですが、今回は正面を留め加工にしました。

接着面が直角でなく、45度に傾いています。

力が逃げるため、2方向からクランプを当て、塩梅で隙間なく位置を決めていきます。

工房のクランプを総動員し、3人がかりの真剣勝負です。

右に写っていた一枚が5cmに割かれ、45度に傾斜し、垂直方向に接着されました。

そうすることで、少々薄かった天板が正面から見たとき、5cmもの厚い板に見えるのです。

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設置した天板です。ブックマッチの板目が線対称となり、きれいですね。

正面から見ると、きれいな柾目に見えます。天板の上面が板目の場合、横は柾目になります。

なるべく自然の見え方になるよう作り上げます。

天板の裏側には補強と反り止めを兼ねた合板が入れてあります。

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隅に取り付けられた飾棚です。

部屋全体を見渡せるかたちにしました。今回のオーダーメイド、実はこれがメインです。

木目の美しい無垢材で制作した力作です。

存在感があり、チェリーの優しさもあり、きれいですね。

この優しい存在感が、お客さまのご希望でした。

 

下部は本棚&整理棚としました。

天板との接合はしておらず、自由に出し入れできます。

本棚はアメリカンチェリーの天然木化粧合板を使用しました。

正面には柾目のきれいな無垢材を貼っています。

こうした棚物は天然木合板の方がきれいに見えるかも知れませんね。

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無事納品完了です。

翌日、メールをいただきました。

「昨日は納品ありがとうございました。

ものすごく立派なものを作っていただき、

お願いをして本当によかったと思っております」

 

いつもながら、こうした一言が、これまでの苦労を幸せなものにしてくれます。

 

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