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一点物を越え、逸品物を作り続けたい!/岸邦明

2018年1月10日

神楽坂に家具工房を構えました。

最も都心にある家具工房なのだと思います。

とは言え、神楽坂の商店街にある訳ではありません。

有名な赤城神社の裏手、赤城坂を下りきったところに工房はあります。

100m以内に鞄工房や人気ギャラリー、有名な喫茶店やケーキ屋さんなどがあります。

ですが、神楽坂を散策に訪れた方が何となく歩くエリアには今のところなっていません。

当然、私たちの工房にも、ぶらり客が頻繁に訪れる訳ではありません。

楽観的な私の期待は大抵外れます。

神楽坂界隈に工房を構えただけで、お客様に出会えるようになる訳ではありませんでした。

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今、「インテリアショップファイル」というガイドブックに掲載していただく準備をしています。

そこには何百というインテリア・家具ショップが掲載されています。

写真を見ているだけで疲れてしまうくらいの数です。

数多のショップが東京にはあります。

その中で、私たちのショップを知っていただくことは容易なことではありません。

規模や資金力だけで言えば、私たちが一番小さいくらいです。

億単位の資金を投じ、海外や地方の木工所で生産してもらい、一等地で販売するショップが都心には急増しています。

私たちができることや、すべきこと、存在理由をいつも考えさせられます。

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規模や売上アップを追求することは、目標としてきませんでした。

10人に満たない規模で、高い無垢の加工技術を持って、私たちだからこそできる「ものづくり」をやり続ける。

それが基本です。

そして私たちは家具が作りたくて集まっています。

それは何となくですが、ひとりで持てる大きさ重さのものです。

正直言えば同じものを作り続けることも、あまり得意ではありません。

そのため、個人のお客様のオーダーメイドを基本としてきました。

 

こうした「ものづくり」の中で何ができるのか。

昨年、私たちは一点物、逸品物をさらに追及することを始めました。

オーダーメイドはそもそも一点物が多いのですが、私たち自らがデザインし、制作販売しているものも、

全て一点物を良しとしました。

今、地球上からは良材はどんどんなくなっています。

手に入れられる材の質は下がり続け、価格は上がり続けています。

日本産の家具材はほとんど流通することはなくなり、ナラ、タモ、サクラなどは入手し難くなっています。

世界的銘木の良質のローズウッドや黒檀、チークなどで家具を作ることはもはやできない状態です。

この流れは加速していきます。

評価の高い家具材の良材を手に入れることは、限りなく難しくなっていきます。

マグロとほぼ同じです。と言うよりも、数十年単位では回復しない分だけ、家具材はより深刻です。

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私たちは精魂込めて椅子を作ります。好きなサクラやミズナラ、ブラックウォールナットなどで制作します。

木の色合いや木目を吟味し、少しでも美しくなるように作り上げます。

それを突き詰めていくと、「良材がある分しか制作できない」となります。

これまでずっとそれに悩んでいました。

もし私たちが作る椅子を気に入ってくださり、一気に10脚頼んでくださっても、

全てを高いクオリティーで作ることができなかったりします。

お客様の期待に応えられなかったりします。

そのため、「追加制作できないものは作ってはならないのではないか」との想いがありました。

それをやめました。

「これはこの1台、1脚だけです」を良しとしたのです。

今、ショップにある展示物のほとんどは一点物の逸品物ばかりです。

「ぜひ見に来てください」

「隅々まで触ってください」

「ゆっくりと長く座ってください」

「裏も含めてじろじろとしっかり見てください」

小さなショップで、展示物も僅かですが、私たちがこだわり、膨大な時間と労力を掛けて作り上げている、

ひとつひとつを見ていただけたらと思っています。

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私たちにご依頼してくださる方のほとんどは、そうした私たちの想いを受け止めてくださる方です。

そのため、お会いし、お打ち合わせし、納品に伺った際、

「岸さんに頼んでホントによかったです」

「岸さんを探し当てた自分をほめたいくらいです」

「孫子の代まで大切に使わせていただきます」

と最上級のお礼を多くの皆さんが言ってくださいます。

その声は、どんどん大きくなっていくのを最近感じます。

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冷静に考えたとき、実はそれは、

「お弟子たちが育ってきたことが一番大きな理由」だと思います。

お弟子たちが作り上げているもの。

一見しただけで、以前とは違います。

加工技術、塗装技術、私との違いがほとんどないレベルに育ってきました。

4人の誰がどの工程を行っても違いが生じなくなってきています。

長年の私の目標であった、お弟子を育て上げるということがかたちになってきました。

これからが楽しみです!