アクロージュファニチャー

玄関ベンチ・スツール・飾棚のブラックウォールナット3点セットの制作

2014年9月2日

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新築の邸宅からのご依頼でした。

「木のぬくもりが好きで建てたけど、玄関周りが殺風景で、帰って来る度にがっかりしてしまう」そうです。

また、「高齢の母が安心して使える玄関にしたい」とのこと。

「近所の方とここで長話をすることも」あるそうです。

 

玄関を拝見して、

たしかに木が要所を占めていますが、新建材であったり、プリントであったり、集成材であったり…

家全体としてはかなりの豪邸ですので、この玄関を何とかしたいと言う気持ちが分かります。

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目の前にあって、小さいながらも大きな役割を果たしていた、小抽斗付きの飾棚。

家の壁にしっかり固定されていたため、容易には取り外せないようです。

クロスを貼り替えるのも大変なので、デザインはそのままでカバーをすることにしました。

材は気に入られたブラックウォールナットで。

ちょうど丸太挽きで購入した材があり、今回のオーダー一式が共材で作られるというと贅沢な逸品になります。

 

前蓋やパイプ脚は、形そのままに作り直します。

難題の天板。伸縮の問題があり、無垢材をそのまま貼る訳にはいきません。

無垢材のブラックウォールナットを使用しますが、5層となる合板を制作します。

こうすることで、木の伸縮やねじれ等を抑えつつ、表面的には無垢材にしか見えないようにできます。

緊張感のない丸コーナーは角デザインに変更しました。

少し大きめに工房内で制作し、後は現場で鉋等で削り合わせて壁にぴったりと着けます。

同じデザインでも、素材や質感が違うと、全く違った物に見えますね。

デザインの勉強のような制作でした。

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次はベンチです。

いろいろ打ち合わせていくなかで、使い勝手と汎用性、丈夫さなどから、ちょっと特殊なかたちになりました。

一番の特徴は「背もたれが手すりとしての用もなす」ところです。

上がり框の高さから手すりとしての用をなしつつ、ベンチとしての背もたれの用もなすというのは、

大きさや高さのバランスをとるのが難しく、お母さんに実際の動作を何度も試していただきながら

座面のサイズ等も含め、慎重に決めていきました。

また、座面はあえてフラットにしました。「奥のコーナーに物を置いたりする」可能性があるとのことで、

飾台としての雰囲気を残しました。

さらに座面一端は上床にすり出し、座面全体も脚から浮いているように見せています。

買い物袋を置いたりするのに便利で、デザイン的にも変化をつけたかったので、ご提案しました。

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最後にスツールです。

「来客時に少し腰掛けられるものが2脚位あれば」とのこと。

「ベンチとのバランスもあり、同じスツールを2脚置いても変化がないな~」

考え始めると、なかなか難しいオーダーです。

「ときには、コンパクトに仕舞える方が便利だな~」

「ときには、お茶を置けると便利だな~」

「スツールを上に重ねるのは、年配には難しいな~」

などなど、想いを巡らして、出した答えが上のスツールでした。

並べては親子のようにかわいく、親の下に子供が隠れることもできます。

座面は物が置けるようにフラットにしました。

その代わり、縁は曲線にし、座り心地と見た目の軽やかさを出しました。

お納めした邸宅のお庭が素敵だったので、その上で写真撮影。

きれいな邸宅で使われて、幸せです。

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上からの写真です。

今回の材は全てブラックウォールナット丸太挽きの共材です。

最高に贅沢です。

木目もどれも素晴らしい~オーダーメイドって良いですよ~

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玄関口からの一枚。

一空間に3点お納めできると、統一した雰囲気が出て、良いですね。

小振りながらも、やりがいのある制作でした。

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