テーブル天板材を探して/平成26年材木購入紀行/岸邦明
2014年11月26日
この一年、テーブルの天板材となる木を探して回りました。
年末にHPをリニューアルしますが、天板材をご紹介するコーナーも用意する予定です。
現在、オーダーメイドの制作の合間に、一部の材を天板にしています。
今回は、これらの材の購入時の状態をいくつかご紹介します。
①上のはぎ合わせをしている写真の購入時です。
これはとてもきれいな状態ですので、素性が分かり易いですね。
ブラックウォールナットの共木で芯を挟んだ両側です。
いくつか節はありますが、幹幅は揃っていて、辺材となる白太が狭いです。
割れもなく、ねじれや反りもなく、樹皮の欠けもありません。
味わいのある節を好まれる方にはぴったりですね。
②北海道産シュリザクラの丸太挽きです。2本分購入しました。
小さな節があったり、割れも一部ありますが、全面にチヂミ杢が入っています。
幹幅が50cm近くあり、ブックマッチ2枚はぎで天板になります。
厚さ40mmと薄いのですが、反りやねじれがほとんどなく、30mm以上では仕上がりそうです。
上手くいけば、丸太1本から2枚分の天板が作れます。
この径のサクラは、もはやとても貴重です。
サクラは本来、割れ易く、節も多く、腐れも多く、市場に出回ることがほとんどありません。
ねじれや反りが少なかったのは、幸いで、何とか良い天板にしたいですね。
③これもシュリザクラの丸太挽きです。
割れがあり、木目も流れていて、幅も少々いびつですが、全面に見事なチヂミ杢が出ています。
厚さは50mmあり、ねじれや反りも少ないので、天板に出来そうです。
幅は広いところで60cmあり、コーヒーテーブルの天板としても適しています。
少々苦戦しそうですが、上手く活かしたいですね。
④ブラックウォールナットの丸太挽きです。
小さな節がありますが、今のところ割れもねじれもありません。
白太がとても狭く、色もきれいで、素性は良さそうです。
幹幅は50cm弱ですが、ブックマッチの2枚はぎで天板になりそうです。
「今のところ」とは、購入時は製材してまだ1ヶ月くらいだったからです。
これから冬を越すに際し、割れやねじれなどが生じないことを、願うばかりです。
⑤4m級のタモの幅広材です。丸太挽きではありませんが、50cm幅以上に材が9枚ありました。
今時こうした物が流通することはなく、これも十年以上前のもので、辞められた材木店からの出物です。
日暮れ後の確認のため、素性がしっかりとは分からないのですが、「昔の物は良いものだ」と
「えいっ」と購入しました。
入荷後、晴れて明るいところで確認。
共材は1セット、100点とまではいきませんが、今では手に入り難いタモ材であることに変わりありません。
1枚を真ん中で切って、1800mm長さのテーブルにしたり、ロングカウンターなどにするには良いですね。
⑥丸太挽きばかりでなく、一枚板も購入しています。
幅90cm近い材はもはや高値の花。資源の枯渇のため、流通量は激減し、良材はほとんどなくなりました。
奇跡的に市場に出てきた大径木の丸太は大変高額な取引となり、
天板一枚当たり100万円を超えてくることもあります。
何とか手が出るものを、ドキドキしながら購入しています。
⑦丸太引きとは言え、板目挽きばかりではありません。
これは日本産のミズナラの柾目挽きです。
写真で見える木口から推測し、すばらしい素性の物だと信じ、購入しました。
共材の柾目のテーブル天板が4枚くらいは出来るはずです。
通常、素性の良いミズナラは北海道産ですが、この木は木曽ヒノキの中に自生したミズナラだそうです。
周りの木々がまっすぐなところに生える木は同じようにまっすぐ成長します。
銘木木曽ヒノキの中で育った木曽ミズナラも銘木だと思います。
人工乾燥機に入れてもらっていて、来週愛知まで引き取りに行きます。
ミズナラとしては高額だったので、ドキドキです。
資源の枯渇で、良材に出会うための苦労は大変です。
東京だけでなく、今年は栃木、岐阜、愛知、大阪、静岡を回りました。
何千本という材の中から、これぞという物を選び抜きます。
ここまでしても、いつも満点な材という訳ではありません。
どこか欠点がある材も、手元に来た後、適材適所で活かし切ります。
美しい家具を作るための努力を全力でやっています。
ここまでしている工房はめったにないと自負しています。
大きな会社が投資し、全国規模で大径木を買い尽くしている話も聞きます。
木材の環境は悪化の一途を辿っていて、将来に不安を覚えずにはいられません。
小さな工房ではありますが、良い物を作り、届けたいという気持ちは大きく持っています。
HPリニューアルご期待ください!