アクロージュファニチャー

五角形のホワイトオークのダイニングテーブル

2015年6月10日

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五角形のダイニングテーブルを制作しました。

来店時にはお客様が正確な図面を持って来られました。

材はミズナラかホワイトオークの板目。6枚はぎくらい。

板厚は40mm位で斜めに面を取る。角の丸みもミリ単位で考えられています。

 

こうした明確なオーダーには、お客様がしっかりイメージしている物を作り上げるだけでなく、

それ以上の良いものを目指さなくては、ご満足いただくことはできません。

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まずは材選びです。

ナラやオークの板目材は反ったり、割れたりすることが多く、厚く製材されることがほとんどありません。

20cm幅を越し、45mm以上の厚みのあるナラやオークの板目材は、実はとても貴重な材なのです。

工房内にまとまった在庫はなく、何か所もの製材所に問い合わせましたが、見つかりません。

探し回るしかないと、在庫の多い材木屋さんに出向き、宝探しです。

宝が眠っていることを期待していた材木店の倉庫の隅で、埃をかぶった7枚の板目を発見!

「これってホワイトオークですか?」

「そうだったかな。良く見つけたね~」

十年も前に自社で製材された材の残りでした。

アメリカ挽きではなく、優良丸太を日本で挽いた特級品です。

幅はどれも25cm以上あります。

これで勝負ができます。

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工房に持ち帰り、一皮削って、木目や色味を見ながら使用する材や場所を選びます。

この作業が一番重要で、完成したテーブルの美しさを大きく決めることになります。

7枚から4枚に絞り、木取っていきます。

今回のテーブルの長さは1m40cmとなります。

実は流通している材でこうした短い物はありません。

今回の板は2mと最短でしたが、それでも50cm位は使わないこととなります。

オーダーメイドでないと、なかなか決心がつかないような、贅沢な木取りです。

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接着を終え、五角形にカット。

ここまで来れば、ゴールが見えて来ます。

後ろでは、旋盤加工で丸脚を削り出しています。

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納品に。今回は幕板がないデザインでしたので、鉄の反り止めを入れました。

鉄はT字型になっていて、そう簡単には曲がりません。

オークの厚みのある板目ですので、1m40cmの長さに対して3列入れました。

できることは全て行って、一期一会の門出の無事を願います。

 

右は勝負の天板です。

きれいな中杢ながらも力強いオーク材の木目が存在感を放っています。

希望以上の5枚はぎも実現し、見本写真以上のきれいな材で、しっかり天板を仕上げました。

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無事納品完了です。

面の取り方等、少しこちらの意匠を入れましたが、やはり明確なイメージを持たれてのオーダーだけあって、

直ぐに気付かれました。

「ただの丸い面ではないんですね」

「ただの丸だと緊張感が無くなるので、天板の上側は少しエッジを残しています」

「これが作り手のセンスなんだね~」

なんだか嬉しくなりますね。

 

後日メールをいただきました。

「大変満足のいく仕上がりで、しっかりと造りこんでいただいた意気込みを感じました。

ありがとうございました」

建築のお仕事をされているお客様。

「造りこんでいただいた意気込み」という一言。同業者としては最高の誉め言葉ですね。

嬉しい限りです。

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