アクロージュファニチャー

エクステンションテーブル(ミズナラ無垢材)の制作

2014年9月1日

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ご無沙汰してしまいました…

色々作っているのですが、なかなかご紹介することが出来ていません。

 

両袖にテーブル板を出し、広げるタイプのエクステンションテーブル(伸長式)を制作しました。

「広げたときに1m20cmの正方形にしたい」とのこと。こうしたものはオーダーメイドの出番です。

理論的には出来るはずですが、かなりの大きさであるとともに、広げて正方形になるタイプは見たこともありません。

新たな挑戦に「誰に見られても良い仕事をしていると思われるようなものにしたい」という緊張感と気合いが

入ってきます。

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無垢材でエクステンションテーブルを制作する場合、「これ以上の良材はない」と言い切れる、素性の良い材を

用意します。

具体的には木目が細かく通直で、反りやねじれもない本柾目材で、しっかりと人工乾燥させたものになります。

必要とする何倍ものナラの柾目材を材木店で選んで購入し、さらにその中から「これぞ」という材を一枚一枚

確認しながら、選び出していきます。

そうした素性の良い材を使用し、数日おきに両面を少しずつ削っていきます。

全ての天板材の平面が出た後、1週間程、両面に空気を当て、容易には動かない材であることを確認します。

いよいよ、ほぞ加工です。

天板ではありますが、扉のような框組み構造とし、中板は本ざね組みとします。

接着にも工夫があります。

季節によって、板のサイズは変わります。夏場は年間を通して一番大きくなっている時期なので、

板どうしの隙間はほとんどいらず、0.1~0.2mmだけ空けて接着します。

真冬の接着なら、夏に向けて大きくなることを考え、0.5mm位は隙間が必要です。

接着を終えたら、今度は使用される状況を想定し、上面だけに空気が当たるようにし、1週間程様子を見ます。

それでも全く反りもねじれも生じなければ、出来る限りのことをしたとし、塗装に入ります。

 

なぜ、ここまでやるのかというと、このスタイルのエクステンションテーブルの天板はどこにも固定されず、

乗っているだけだからです。

通常、厚みのない天板は幕板や反り止めによって、反りやねじれが発生するのを防いでいます。

そうしたものを使用しない今回の天板を無垢材で制作することは非常に難しく、考えられる全ての努力をします。

他にもいろいろ工夫点はありますが……

ちなみにここまでしても、床暖房の部屋やエアコン直撃の場所での使用できません。

無垢のエクステンションテーブルはなかなか大変なのです。

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デザイン的には、これ以上ないくらいシンプルなものにしました。

そうした方が木の良さが伝わり、木の良さによってかたちも活きます。

その分細部に至り、何度も検討しながら作り上げていきました。

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天板裏です。レールによって両袖の天板が移動します。

丸棒によって中央の天板は位置決めされ、その場で上下します。

シンプルなかたちの中に、かなり厳密な動きが隠れています。

この力作。春に入ったお弟子が制作しました。

ミスなく、誤差なく、打ち合わせ通りに。

僅か数カ月のうちに大きく成長してくれ、嬉しい限りです。

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お納めしたエクステンションテーブルです。

通常は小さく使用するようですが、年に数回、大人数でテーブルを囲むことがあるそうです。

そうした時に奥に見える「ウッドデッキも使用して…」ということで、ウッドデッキのテーブルセットも

合わせてお納めしました。

次のブログでご紹介します!

 

 

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