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修理・修繕・再塗装 和太鼓【欅/ケヤキ】

【樹種】欅/ケヤキ(無垢材)
【内容】本体:全体に退色・スレ、金具は錆・めくれあり
    台座:全体に退色・スレ、ぐらつきあり

    ※大正14年ごろに制作された、会社の貴重な記念品である和太鼓の修理
    実用としてではなく、保存・展示するためのご依頼
    
    
    

和太鼓の修理のご依頼です。
大正14年ごろに制作され、企業へ寄贈された貴重な記念品とのことです。
今後、実際に太鼓を使う予定はなく、保存・展示のために修理を望まれました。

今回のご依頼に関して工房主岸は「やるべき」だけど「怖い作業」であることは間違いないと言っていました。それは関係者全員の「着地点を共有できない」ところにありました。

いままでの多岐に渡る「修理・リメイク」で培ってきた経験を活かし、ご依頼主様と相談しながら慎重に作業をすすめます。

運ばれてきた直後の写真です。
本体全体に退色、バチで叩かれていた部分は塗装が剥がれていました。
革の部分は乾燥によるかさつきが目立ちます。
金属の鋲、カンは錆と本体からの剥がれがありました。

まずは、本体の退色している部分に塗装を重ね、全体の色を整えます。
墨で書かれた文字の剥がれに関しては、お客様と相談の上、補修せずそのまま残すことにしました。

今回の修理・修繕は、きれいにリフレッシュすることが目的ではなく、古い太鼓のまま長期間保存を可能にすることが目的だからです。

全体の色を整えたら艶調整です。
塗装と乾燥を繰り返し、丁度良い艶感になりました。

鋲のアップの写真です。
金属にも油分を与え、本体の艶感に合わせます。
写真の右半分は塗装済、左半分は未塗装です。
色自体も濃くなり、グッと引き締まった印象になりました。

台座の部分は一度分解して色ムラ・艶ムラをなくし、
ぐらつきがないように再度組み立てます。

ぐらつきの原因は、脚自体の木が縮んだり傷んだりしてしまっているところにありました。
緩い部分に材を足し、嵌めあいを強固にする方法で改善します。

完了後の写真です。

ご依頼主様から「本当に奇麗になった」「太鼓全体から歴史を感じる」とご感想をいただきました。

明確に着地点がないところからのスタートでしたが、良きゴールに辿り着けたのではないでしょうか。

今回、じっくり時間をかけて作業を行っていたため、工房から運び出される際には、すこしさみしい気持ちになりました。
会社の玄関に展示されるそうなので、これからたくさんの人に歴史を感じる佇まいをご覧いただけることと思います。

[制作担当 荒木(麻)]

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