ページの先頭です

煤黒仕上げの文机&飾棚 - ねる まなぶ あそぶ -

文机サイズ      W1800×D400×H350
飾棚サイズ      W1700×D250×t60 
使用木材       サクラ[ソメイヨシノ](日本)
           

ソメイヨシノの一枚板を使用して、文机を制作しました。
板の状態をなるべく活かし、節や凹み、割れもそのまま活かすことに。
重厚に、そして色は黒く、一緒に納品した飾棚に合わせました。

山桜などのサクラ材も貴重ですが、ソメイヨシノは滅多なことで流通していません。
そもそも挿し木で作られるソメイヨシノは生命力が強くなく、早い段階で芯が腐ってしまうため、家具用に製材されたりすることがほとんどありません。
この材も立派な一枚板ですが、かたちは変形し、朽ちている部分もありました。
手前側が文机、奥側が飾棚となりました。

制作自体は通常通りに行います。
そしてピンクがかったソメイヨシノを黒く塗装していきます。
木目を殺さないながらも濃く塗装できるステインを使用し、何日も掛け、何色も塗り重ねていきます。
今回の難題は艶無し仕上げです。ステインは塗り重ねていくうちにどうしても艶が出てきます。
塗師屋さんなら艶消しのクリアを最後に塗るのですが、その濁った透明な塗装もお客様は「好きじゃない」とのことで使えません。

イメージを言うならば、長年、囲炉裏の上で煤けてマットに黒くなった梁の風合いですが、木目が見えるようにし、洋服に色移りしないようにもしなくてはなりません。

塗膜が十分できたところで、さらに塗装しながらバーナーで表面を焼いていきます。
塗料を若干炭化させつつ、焼き付け塗装のように強度も与えていきます。
その後、シンナーで塗装を少しずつ剥がし、木目が透けて見える状態にします。
塗り加減、あぶり加減、拭き取り加減、全てが感覚勝負です。

飾棚と合わせて文机を納品に。
奥さまが「これが来るのをずっと楽しみにしていたんです」
「木の表情がすごく素敵です」
「ずっと撫でていたくなります」
大変満足していただけ、嬉しい限りです。

脚もサクラの厚板で制作しました。
樹皮を残し、そのまま塗装で固めています。
手を入れながらも自然な風合いを残す。
なかなか難しい作業でしたが、御夫婦の好みにピッタリ合わせることが出来ました。

「この扉と障子戸もまずは同じように塗装してもらえますか」
職人冥利に尽きますね。