アクロージュファニチャー
MENU

レコードプレイヤーBOX(田中邸)

最高の音を得るために総無垢の
レコードプレイヤーBOXがほしい

そんなお客様の夢を叶えるために、
長年寝かせておいた狂いの少ない大径木の一枚板から制作することをご提案しました。

アクロージュファニチャーのANSWER

木の知識 × 音の知識

オーディオ・音楽系のライターであり、オーディオ愛好家の田中伊佐資様からのご依頼で、LPプレイヤーの機器を入れる木のBOXを制作しました。無垢の木のスピーカーが音に良い影響を与えるということは、皆さんも何となくご理解いただけると思いますが、LPプレイヤーの箱が無垢の木だとやはり良い音がするそうです。それもはぎ合わせ数がなるべく少なく、大きな塊から削り出した方が良い音になる可能性が高いということです。
打ち合わせをしていく中、何とかその「熱い想い」に答えて差し上げたいと私たちも全力で臨みます。樹種、サイズ、重量…見た目だけでなく、音に関わってくるため、箱とはいえ、決して簡単なご依頼ではありません。工房内で長年待機していた大きな一枚板で制作することを決断します。

覚悟を決めて!!

厚みが70mm程あり、長さ、幅ともに今や大変貴重となっている巨大な一枚板から、特に縮み杢の強い箇所を贅沢に2枚切り出していきます。本来ここまでの材を小さく切ってしまうことはとても覚悟のいることですが、今回のご依頼の条件を完全にクリアするのはこの材しかありません。お客様の目の前で、説明させていただきながらの加工です。
巨大なため機械に載らないので、荒切りは丸鋸を使って行います。

最高の音にするために

平面出しも同様、工房内の機械には入らないため、手鉋で削り進め厚みを揃えます。上下に2枚を積層して接着します。特に接着面は慎重に平面を出し、きれいに仕上げます。削ってすぐに接着する訳ではありません。木がこれ以上動かないかを数週間様子を見つつ削り進めます。もし大きく動く個性がある木であった場合、ここまで来てもこの材で制作することは諦めなくてはなりません。

木の表情と音の豊かさ

接着・サイズ決めし、ターンテーブルが入る穴を開け、固定するためのネジ穴を開け、加工は完成です。加工自体はシンプルですが、わずかな隙間が音に悪影響を与える可能性があるので、全ての加工に0.5ミリ以下の精度が求められます。
塗装し完成した木部。一人では持てないほどの重さです。塗装することでその独特な木目の揺らぎがさらに際立ちます。この揺らぎ「縮み杢」と言います。ここまでしっかりと全体に入ることは稀で、私の木工人生の中では、これ以上の縮み杢を手にすることはないと思います。
名器と呼ばれるヴァイオリンやギターなどには縮み杢が使われます。見た目の美しさもありますが音にも良いのです。木が波のようにうねって成長した箇所に縮み杢が現れます。木を通過していく音が縮み杢通ると、よりビブラートが掛かるような複雑な音になるのだと思います。

制作を終えて

納品の際には試聴させていただきました。左右の大きなスピーカーにも引けを取らないほどの存在感があります。
聴く楽しみだけでなく、そこに観る楽しみも加わったのではないでしょうか。作業工程含め完成品を見て、とても喜んでいただけました。
音の世界はとても不思議で奥の深いものです。CDプレイヤーの下に木を一枚敷くだけで、スピーカーから発せられる音が変わります。木工と音楽はとても似ていて、関係の深い世界だと感じています。ライターである田中様が無垢の木とオーディオの良き関係を、皆様にお伝えいただけることを願っております。

お客様の声

無垢の木のレコードプレイヤーBOXをご依頼いただききました。
今回、無垢の木でBOXを作ろうと思ったきっかけをお聞かせください。
また、ブラックウォールナットをお選びになった理由もお聞かせください。
オーディオを趣味としていない人には想像しにくいですが、メカを収めているだけなのに、レコードプレイヤーBOXの素材によって音が変わります。金属、樹脂、木などそれぞれの素材のキャラクターが音を左右するのです。
ちょうど愛用しているレコードプレイヤーをグレードアップさせたいと思っていたので、響きのいい無垢材で制作することを決めました。無垢材はヴァイオリンやギターなど多くの楽器に採用されていることからもわかるように、人が本能的に好む心地好い響きがします。たとえば相撲や歌舞伎で使われる拍子木が、金属やプラスチック製だったらどうだろうかと想像すればおわかりになるかと思います。
しかし同じ無垢材でも、樹種によって響きが異なります。幸いにも音楽之友社が刊行している月刊誌「ステレオ」で、アクロージュファニチャーの協力のもと、サクラやナラ、ハードメイプルなどのインシュレーターを作り、樹種によって音はどう違うのか試聴テストに立ち会ったことがありました。そのなかで、僕はブラックウォールナットの濃厚で重みのある響きが最も魅力的に感じました。全体が緻密で、低い音に力強さがある。音の方向が自分の好みでした。
木取りからご参加いただき、制作の過程を見て来られましたがいかがでしたか。
最初に感じたことは、使用する材は長テーブルなど大きな家具に使える一枚板でしたので、プレイヤーに使っていいのか、もったいないということです。そこはこの板で行くことを決めてくれた岸代表の男気に感謝します。
アメリカから日本に来て10年以上も眠っていた一枚板が、切断され、研磨され、加工されていく過程を見ていくと、シンプルに「木ってなんて美しいのだろう」という思いでいっぱいでした。複雑かつ絶妙な木目模様を見ていると、気取った言い方をすれば、神様が作った天然アートそのものです。それを所持できることがこのうえなく嬉しかったです。また自分が欲しかったものが、形になっていく姿を見るのはわくわくしました。岸さんをはじめスタッフの手際が迅速かつ正確で、安心して制作をゆだねることができました。
実際、プレイヤーを設置し、はじめて音を聞いた時のご感想をお聞かせください。
それまで使っていたメーカーの純正品と比べて、想像以上に音のランクが上がりました。最初に素材で音が変わると書きましたが、正直ここまで違いが出るとは思っていませんでした。やはりブラックウォールナットのしなやかで落ち着きのある音がそのままレコードの音に反映され、盤石な重厚感が加わりました。
おそらくベテランのオーディオマニアでも無垢材BOXの素晴らしさを実感している人は少ないと思います。経年変化の激しい無垢材でボックスを作ることは簡単ではないためです。
完成から少し日が経ちましたが、今のプレイヤーは田中様にとっていかがですか。
かけがえのない宝物です。音が良くなっただけでなく、物として愛着を覚えます。心から気に入ったものが身近にある生活は素敵です。また多くの工業製品は歳月とともに劣化していきますが、無垢材は時間をかけるほど風格が出てきます。これからがさらに楽しみです。
今後、無垢の木を使ったオーディオアイテムをオーダーし、使用してみたいと思うものはありますか。
オーディオラックです。一般の方にはこれもまた信じがたい話ですが、ラックもまたオーディオ製品の音を決めるうえで重要な要素です。良質な木の響きを生かしたラックが欲しいですね。
あなたの「想い」は「かたち」になりましたか。
思い浮かべていたことが見事に実現しました。お世辞を抜きにして、思っていた以上のものができました。大満足です。あまり持ち上げると宣伝じみた感じでうそ臭くなりますけど、また無垢材の特注をお願いしたいと思います。そのためにいろいろなことを構想しています。それがまた楽しい瞬間です。

『あなたの「想い」を「かたち」にします』トップへ戻る

ページの先頭へ戻る