木工教室の皆さまに出来ること
2021年1月5日
明日から令和3年度の木工教室が始まります。
皆さま、今年もよろしくお願いいたします。
15年前に木工教室を始めました。
講師は私だけで行っていた期間が10年ほどあり、5年前に荒木も講師に加わりました。
当時、所沢市で行っていた木工教室を、東京で行うための準備でした。
4年前に東京神楽坂界隈に移転。
これまで最大40名だった生徒数は、一気に150名程度になりました。
現在は250名程が通ってくださっています。講師陣も8名となりました。
私たち講師全員が、職業訓練校の卒業生です。
東京の品川と足立にある木工技術科を出ています。
全国の木工所で活躍されている多くの方は、実は職業訓練校を出ています。
日本の家具製作技術スタンダードであり、それを伝え続けています。
木工教室のカリキュラムの内容は、実はこの訓練校で学ぶことを、
ギュッと濃縮して必須部分だけをお伝えしています。
世界に誇る日本の木工技術も今は機械に代わり、
現場では機械で作れる物しか作らなくなっています。
しかし、手加工技術をしっかり学ぶ訓練校を出ている私たちは、
手加工でしか味わえない喜びや加工精度を知っています。
プロとして木工を行っている方々は、大きく捉えるとふたつに分かれると思っています。
① 収入を得るための仕事として木工に携わる
② ものづくりや表現を生業するための手段としてに木工に携わる
現実の世界においては、そのふたつは全ての木工家に棲み付いています。
そのバランスに、それぞれが時に悩むのだと思います。
②を目指す人の苦悩は、深く果てしないのかも知れません。
生徒の皆さまの多くは、①のために木工教室に通っているのではないと思っています。
①が必要でない皆さまこそが、初めから②に手を伸ばすことができます。
②の喜びを得ることを、私たち講師陣も大きな最終目標とし、日々挑戦しています。
「ものづくりや表現することの喜びを伝えたい」
そのための術を、私たちはお伝えすべきと考えています。
訓練校は基本的に2名の講師で、生徒30名を見ています。
学校の授業ですので、一斉に決まったことを行います。色々な理由で辞める人は出ます。
一方、木工教室は進捗がバラバラ、作るものもバラバラです。
2名の講師で12名に伝えさせていただています。
こうした体制で4年が経ちました。
少しずつですが教室も進化し、伝え方も整ってきました。
「もっともっと私のことを……」と、皆さまが思われていることも承知していますが、
能力や費用のバランスの中、15年の経験の結果で、今の体制があります。
手放しで満足とはいかないと思いますが、ご了承いただけますと幸いです。
今、特に足りていないと考えているのが、自身の手道具で制作するための技術です。
「手道具を仕込み、刃を研ぐ技術を伝える」
それを本格的にカリキュラムに組み込みたい。
生徒一斉にできるのであれば、それほど難しくないのですが、
制作と同居して伝えることは、とても難しい作業になります。
今年はそのための挑戦になります。
今月、当ビルの半地下のスペースを借ります。
材木等の在庫品は地下に移します。
そして教室のスペースを広げます。
コロナ対応で狭くなってしまった個人スペースを広げ、砥ぎ場も増やし、
しっかり見られる空間を、まずは作ります。
ネット上での「振替のシステム」も作り上げたいです。
この場をお借りしてですが、得意な方はいませんか?
どのようにすべきか、一緒に作り上げてくださる方を探しています。
こうしたことが、かたちになった先には、シェア工房が実現できると思います。
腰を据えて、じっくり木工を楽しむ。
プロもアマも関係なく、木工を生業にしたい人が集まれる空間。
そんなときが来ることを私は夢見ています。
新型コロナの猛威は危惧していた変異と言う形で、一気に次の段階に入ろうとしています。
1年経って、また同じことが始まらないことを願うばかりです。
「こうしたときにこそできること」
ひとつずつしっかりかたちにしていきたいです。