NHK Eテレ「デザインあ」の「デザインの観察」「削り」の放送のご案内
2021年1月5日
今週土曜日、9日朝7:00からの15分間、「削り」が放送されます。
鉋を中心に色々な道具が物を削る瞬間を観察する番組です。
ぜひ、ご覧になってみてください!
実は、私もどのような映像になっているか分かっていません。
撮影は昨年の10月でしたが、丸2日間掛け、全力を尽くして色々な物を削りました。
木、鉄、粘土、氷、野菜などなど。
今回は、これまでのテレビ放送とは違い、「作り込みの映像」です。
10以上の削る事象を、テイク5位の範囲で、映像映えする現象を起こさなくてはなりません。
一回削っては、より良い現象を録画を見ながら考えていきます。
そして再チャレンジ。
監督のOKが出たら、次のセッティング。
その間に、次の事象の打ち合わせ。
20名程のスタッフがひとつの映像を撮るために力を尽くす、真剣勝負の撮影の世界でした。
私として、一番苦心したのが、鉋の削れるところです。
鉋台の横を切り取り、アクリルを付け、削れるところをミクロ撮影したのですが、
鉋の台が変形してしまい、上手く削ることができません。
少し削りが厚いと食い込んで削れなくなり、少し薄いと途中で空振りとなります。
厚みもバラバラ、スピードもガクンガクン。
「大工道具は片刃で、材に食いつくようになっている」と、いつも説明していたことを
このタイミングで実感させられてしまいます。
鉋台が樫という堅木で作られている本当の理由も、この瞬間、知ります。
アクリルで補強したくらいでは、台の強度が足りないのです。
撮影スタジオでできる改善作業は限られており、突破できるのか、心臓がバクバク……
私以外は鉋を扱ったこともない方々です。
置かれた状況を共有する人も居ません。
再撮影もムリ。何とか加減だけで答えを出すしかありません。
プロとして最低限の事象を出したい……必死でした。
「もう一度だけやらせてもらえませんか」
今どきの撮影は簡単には残業もしないようです。
それでも、「ここだけは」と思う箇所は、再チャレンジをお願いしました。
高速度カメラで撮影された色々な物が削れる様子は、きっと美しいはずです。
ぜひ、観てください。
因みに、顔もテロップも出ません。でも私です……
岸邦明
① NHK E テレ ⼟曜
初回放送:1月9日
7:00 〜7:15