アクロージュファニチャー

オーディオ・ステレオ

オーダーメイド LPボディ【ナラ/楢】無垢

【樹種】ナラ(無垢材)
【サイズ】W510×D415×T90

レコードプレーヤーを木製のキャビネットへ取り付けることが長年の夢というお客様からご依頼をいただきました。
依頼先を探している中、同仕様の制作実績がある弊社を見つけられたとのこと。

早速、当工房へご来店いただき、樹種などの打ち合わせを行います。

LPボディの樹種が音にも影響してくるため、過去の経験を踏まえ各樹種の特徴をお伝えさせていただきます。
当初は濃色系の樹種をイメージされていましたが、打ち合わせの中で、ナラ材の雰囲気に魅力を感じられたようです。
工房に脚を運んでいただき、直接木を見て触れていただくことは、お客様にとって後悔のないオーダーメイドになるために重要な工程だと感じます。

LPボディはレコードプレーヤーを支えるため、厚みと重量が必要になってきます。
通常、それだけの厚材且つ良材は中々手に入れることができないため、厚み・幅両方向での接着を行います。
今回、各所を探し回り、奇跡的にこれ以上は考えられないような良材に出会うことが出来ました。
今後同レベルの材を手に入れることは出来ないかもしれません。
厚みも十分で、木目も通直な柾目の逸品です。
幅方向のみのはぎ合わせで制作できます。

特にミズナラやオークは割れが入りやすい樹種で、リスクが高まるため、通常厚く製材することはあまり無い材です。
念のため、ある程度木取りをした後に2週間ほどシーズニングを行い、割れが発生しないかを確認します。
結果として、予想を越える割れが発生してしまいました。
実績のある製材所での人工乾燥とその後数年の天然乾燥を経ており、申し分ないコンディションであることは間違いありませんでした。
無垢材という自然物を扱う難しさを痛感しました。

幸いにも板全体がほぼ無欠点の良材でしたので、お客様にもご理解いただき、新たに木取り直し再チャレンジ。
同様にシーズニングを行い、割れが入らないことを確認して製作に入ります。

過去に制作実績があるとはいえ、今回はレコードプレーヤーが手元にない状態で加工を進めて行かなければなりません。
くり抜きの位置やネジ穴の位置、アームベースの位置など、数ミリの誤差で、組み上げられない可能性があります。
メーカー図面とお客様手書きのスケッチを何度も見返しながら、一箇所一箇所着実に進めて行きます。

全ての加工を終え、仕上げ、塗装を行います。
お客さまとの打ち合わせで、今回はあえて白太を前後に配置するよう木取りしました。
自分好みの意匠性や遊び心を入れられるのは、オーダーメイドならではと言えそうです。

ここまで来てもレコード―プレーヤー本体を設置するまではまだ安心できません。

別荘でのご使用という事で、今回は発送というかたちでの納品になりました。

後日、レコードプレーヤーを設置した写真をお送りいただきました。
特に問題は無く、無事に納まったようです。

写真に添えて、「手書きのスケッチからこのような作品が創られたことこそ、プロの仕事であると感激しています」という大変嬉しいお言葉をいただきました。
併せて、長年の夢が叶い「一生大事にします」と。

一生モノの出会いを提供できたことに、改めてオーダーメイドの魅力を実感いたしました。

[制作担当 淺井]

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